2020.03.06相続税

初心者でも分かる「相続税」の基本知識~基礎知識と計算方法~

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相続税に基本知識

相続税について、詳しく知らない  という方も多いでしょう。

少し調べてみると、多くの難しい単語や計算式に出くわします。「これは何だか難しそうだな」と思う方もいるのではないでしょうか。

ですが、相続に関して知るべき知識は実はそれ程複雑ではありません。

今回は、相続税の基礎的な知識について簡単にお伝えします。

 

相続とは何だろう?

相続について

相続とは、主に親族が亡くなった際、権利を持つものが財産を受け継ぐ事を指します。

また、この亡くなった人物の事を”被相続人”と呼びます。

 

財産を相続できる人物は民法で定められており、該当する人物を法定相続人と呼びます。

法定相続人は、被相続人の配偶者にあたる配偶者相続人、被相続人と血縁関係にある血族相続人の2種に分けられます。血族相続人には特殊なパターンがあり、仮に相続人となる者が既に故人であった場合、その人物の子が代襲相続人として代わりに相続権を受け継ぎます。

法定相続人となれるのは以下の人物です。

 

配偶者

「配偶者相続人」として、順位に関わらず必ず相続人になる人物です。

婚姻届を提出しており、法的に籍を入れている場合、相続人となる事ができます。

事実婚や内縁関係では相続人にはなれません。

 

子(直系卑属)

第一順位の相続人です。

養子がいる場合は、実子同様に扱われます。再婚した配偶者の連れ子は、予め養子縁組を組んでいなかった場合、相続人となる事ができません。

子が既に亡くなっている場合は、被相続人の孫やひ孫が代襲して相続人となります。

 

両親や祖父母(直系尊属)

第二順位の相続人です。

直系尊属とは、ある人物から見て前の世代にあたる、直系する親族の事を指します。

兄弟姉妹(傍系血族)

第三順位の相続人です。

兄弟姉妹たちが先に亡くなっている場合は、被相続人の甥や姪が代襲相続します。

ただし兄弟姉妹の場合の代襲相続は一代限り(甥や姪まで)となります。甥や姪の子どもは相続権を持つことができないため、第三順位まで誰も相続人がいなかった場合は、パートナーが全ての財産を相続することとなります。

相続税は誰が支払うのかについてはこちら

 

遺産を相続した人に発生するのが相続税

相続税とは、故人の遺産を受け継いだ場合かかる税金です。遺産を相続した全ての人物に、納税義務が発生します。

被相続人の配偶者や一親等の血族以外(代襲相続人ではない、いわゆる孫養子等は除きます)の人物の場合、法律により負担する相続税は二割増となることが定められているので注意が必要です。

遺産相続の受け取り方や手続きについてはこちら

遺産総額が基礎控除を超えているかがポイント!

相続税を申告する

遺産総額が一定金額を上回るかどうかで相続税を支払うかどうかが決まります。

その理由は、相続税には”基礎控除”という仕組みがある為。この基礎控除額を上回った財産を相続すれば、相続税を支払う必要が出てきます。逆を言えば、相続する財産が基礎控除額を下回る場合は、相続税を支払う必要はありませんし、申告自体も必要ありません。

遺産総額が幾らであるのか、自分たちの場合の”基礎控除額”はどれ程になるのかを把握する事で、自分が相続税を支払わなければならないか否かを判断する事ができるのです。

 

基礎控除の計算方法

上項で触れた基礎控除額についてですが、以下の計算式で求める事が可能です。

 

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

注意して頂きたいのは、計算式上の法定相続人の数には、相続を放棄した人物も含まれるという点。相続人は何人いるのか、相続を放棄した人物はいないか、相続人全員を把握した上で計算をしましょう。

 

相続税が課税される財産と課税されない財産の違い 主な相続財産の例

被相続人の生前の財産、所有物が全て課税される対象になるかといえば、そうではありません。

相続税が課税されない財産もあります。

具体例を詳しくみてみましょう。

 

相続税が課税される財産

金融財産

現金、預貯金、株式、投資信託、売掛金、公社債など

不動産

土地(宅地、山林、農地など)、建物(家屋、駐車場、倉庫など)、マンション・アパートなど物件の借地権・借家権

動産

自動車、家具、貴金属、宝石類、美術品、骨董品類など

各種権利

電話加入権、各種会員権(ゴルフ場会員やリゾート会員など)、

著作権、商標権など

事業に関連する財産

事業に関する機械、備品、商品、農産物など

※海外で所有している上記財産に関しても課税対象となります。

 

相続税が課税されない財産

祭祀承継されるもの

仏具、仏壇、墓地、墓石、神棚など

※ただし過度に高価な場合(たとえば金の仏像など)は課税対象になることもあります。

相続税のかからない非課税財産についてはこちら

 

みなし相続財産

上記以外の、課税・非課税の判断が難しいものに「みなし相続財産」と呼ばれるものがあります。

みなし相続財産とは、「本来は被相続人所有の財産ではないが、被相続人の死亡によって発生するため、相続の対象となる財産」です。

例えば、死亡保険金や死亡退職金などが該当します。

こちらは、一定の金額までは相続税が課税されませんが、上限額を超えると課税対象となります。

 

金額ですが、死亡保険金・死亡退職金ともに、「500万円×法定相続人の人数」までが非課税となり、それを超えた分は課税対象となります。

 

借金や未払い金なども相続の対象となる

相続されるのは、金銭や不動産といったプラスの財産だけではありません。

被相続人が借金や未払い金、住宅ローンなどを残していた場合、それらマイナスの財産も相続人が引き継がなくてはなりません。

そうしたマイナスの財産に関しては、一旦総遺産がどれだけあるかを全て調べた上で、差し引きして「正味の遺産総額」を計算することになります。

例えば、金銭や不動産といったプラスの財産が1億円あり、借金や未払い金といったマイナスの財産が2,000万円ある場合、正味の遺産総額は8,000万円となります。

この8,000万円に対して、相続税がかかることになります。

 

 

相続税を申告しなかった時に発生する罰則について

 

相続税の申告期間を超えても申告や納税がされなかった場合、罰則が発生します。

申告期間と罰則の内容についてみてみましょう。

 

申告期間は「相続開始を知った日から10カ月」

相続税の申告及び納税は、原則として「相続人が相続開始を知った日から数えて10カ月以内」と定められています。

「相続人が相続開始を知った日」というのは、ほとんどの場合「被相続人が亡くなった日」になるでしょう。

例外として、何らかの事情で被相続人の死亡を知るまでに時間がかかった場合は、葬儀の連絡や遺産分割に関する連絡を受けた日が「相続人が相続開始を知った日」となり、その日から数えて10カ月以内を申告の期限とするケースもあります。

また、相続人ごとに「相続開始を知った日」が異なる場合、それぞれで申告期限も異なります。

 

申告しなかった時の罰則~1:追徴課税

主な罰則としては、追徴課税と、相続税軽減の特例が認められなくなることが挙げられます。まず、追徴課税の種類と内容についてみてみましょう。

 

無申告加算税

特別な事由なしに、期限を過ぎても申告しなかった場合。

過少申告加算税

実際よりも少ない額で申告した場合。

ただし、修正申告をした場合で正当な理由がある場合は発生しません。

重加算税

財産を隠すなどして、不当に相続税を少なく申告した場合。

過少申告加算税に近い内容ですが、特に悪質だと判断されたケースに適用され、税率もそれだけ重くなります。

延滞税

期限内に相続税を納付しなかった場合。

1日でも遅れた時点で発生し、延滞日数に応じて課税されます。

※加算される税率は年度や期間などによって異なります。

 

注意しておきたいのは、申告遅れ、納付遅れそれぞれに追徴課税がある点です。

申告遅れ

無申告加算税

納付遅れ

延滞税

 

申告は期限内にしていても、納付が遅れれば延滞税がかかってしまいますし、納付遅れの場合は遅れれば遅れるほど罰則は重くなりますので、くれぐれも注意しましょう。

申告期限の延長は、相続人の異動(例:失踪などによる人数の増減)や後からの遺言書発見など、特別な事情がない限り、原則的には認められません。

どうしても間に合わない場合は、概算で一旦納税を行うなどの対処法があります。

ただし、手続きが複雑になることが多いため、税理士など専門家に相談することをおすすめします。

 

 

申告しなかった時の罰則~2:特例が受けられなくなる

相続税は現金での一括納付となっており、原則上は分割納付ができません。

ただし、特例として数年かけて納付していく「延納」、現金でなく財産物自体で納める「物納」といった方法をとることもできます。

いずれも税務署への相談と許可が必要です。

申告遅れなどがあると、こういった特例を受けられないといったペナルティも発生するため注意しましょう。

 

相続税の計算方法を細かに徹底解説

ほとんどの方が最も難しいと感じられるのが、実際どれくらい相続税がかかるかの計算ではないでしょうか。

ここでは、細かく順を追ってその計算方法を解説します。

 

仮に、以下のような状況だったと仮定し計算してみましょう。

・金銭や不動産など課税される財産の合計……1億5,000万円

・借金や未払い金、葬儀費用などマイナスの財産の合計……1,400万円

・相続人の人数……被相続人の妻、長男、次男の3人

1.遺産がいくらになるか整理し、「正味の遺産総額」を算出

まずは、金銭や不動産など課税される遺産の総額を計算します。

この時同時に、借金や未払い金といったマイナスの遺産も計算しましょう。

課税される遺産総額からマイナスの遺産額を引いた金額が、「正味の遺産総額」となります。

 

課税される遺産総額……1億5,000万円

マイナスの遺産額………  1,400万円

【計算式】1億5,000万円-1,400万円=1億3,600万円

 

正味の遺産総額は、「1億3,600万円」となります。

 

2.基礎控除額を差し引いて、課税遺産の総額を算出

正味の遺産総額が出たら、次に基礎控除額に達しているかをみていきます。

前半で解説した通り、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と定められています。

この例では相続人は3人であるため、基礎控除額は以下のように計算されます。

 

【計算式】3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

もしも正味の遺産総額が上記を下回っていれば、相続税は課税されません。

この例では上回っているため、正味の遺産総額から基礎控除額を差し引き、「課税遺産の総額」を求めます。

 

正味の遺産総額……1億3,600万円

基礎控除額…………  4,800万円

【計算式】1億3,600万円-4,800万円=8,800万円

 

課税遺産の総額は、「8,800万円」となります。

 

3.分配した上で、各相続人の課税金額と相続税総額を算出

課税遺産の総額が出たら分配金額に応じた「各相続人の課税金額」と、「相続税総額」を計算します。

遺産分配の割合については、ここでは法定相続分にならって一旦計算しましょう。

 

【計算式】

妻………8,800万円×1/2=4,400万円

長男……8,800万円×1/4=2,200万円

次男……8,800万円×1/4=2,200万円

 

次に、以下の税率速算表に沿って金額に応じた税率を掛け、控除を引いて各相続人の課税金額を算出します。

そしてその合計が、相続税総額となります。

 

税率速算表

相続額(取得金額)

税率

控除額

1,000万円以下

10%

無し

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円以上

55%

7,200万円

 

【計算式】

妻………4,400万円×税率20%-控除額200万円=680万円

長男……2,200万円×税率15%-控除額50万円=280万円

次男……2,200万円×税率15%-控除額50万円=280万円

 

各相続人の課税金額は上記の通りです。

相続税総額は、680万円+280万円+280万円ですので、「1,240万円」となります。

 

4.各相続人の相続税負担金額を算出

相続税総額をもとに、「各相続人の相続税負担金額」を出します。

 

【計算式】

妻………1,240万円×1/2=620万円

長男……1,240万円×1/4=310万円

次男……1,240万円×1/4=310万円

 

按分割合も今回の例では法定相続分に沿って、妻1/2、長男1/4、次男1/4の形で計算しましたが、実際の相続割合によって、例えば妻50%、長男30%、次男20%といった計算をする場合もあります。

また、被相続人の配偶者は取得した遺産の金額が1億6,000万円以下の場合、相続税が免除されます。

その免除も適用すると、各相続人が納める相続税の金額は以下のようになります。

 

妻………0円(※計算上は620万円だが、取得遺産額が1億6,000万円以下であるため免除)

長男……310万円

次男……310万円

 

以上の計算方法で、実際に申告・納付する相続税が算出できます。

実際の相続税がいくらかかるかのシミュレーションはこちら

 

相続税の申告・計算は自分でもできる? わからない時は専門家に相談しましょう

ここまで、相続税申告に関して、どんな財産に課税されるのか、申告しなかった時の罰則はあるのか、細かな計算方法などを解説してきました。

これらをご参考いただき、ご自身で書類を集め、計算し、申告・納税をおこなうことは可能です。

とはいえ、財産の整理・計算や、相続人の特定・連絡、税率の正しい計算など、手続きに関わる作業は膨大かつ複雑です。

しかも、申告期限は10カ月と定められています。

ご自身で進められても良いですが、やはり税理士という税の専門家に相談することをおすすめします。

専門家がついていれば、分からない時はすぐ答えてもらえますし、小さな見落としやミスもチェックしてもらえます。

費用は多少かかりますが、手間の大きさや、ご自身で進めた結果申告が遅れて追徴課税されるなどのリスクを考えれば、そちらの方が安心できるのではないでしょうか。

 

おわりに

財産を受け継ぐ際に、必ず頭に入れておきたい相続税。

聞きなれない様々な単語が出てきましたが、今までの内容を要約すると、

 

①相続とは、被相続人の血縁者や配偶者が財産を受け継ぐ事である。

②相続税は、財産を受け取った人物全員が支払う必要がある。

③遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかで、税を負担するかが決まる。

という事になります。この様にまとめて見ると、そう複雑ではありませんね。

来るべき時に備えて知識を蓄え、関係者全員で相続問題に向き合いましょう。

 

また、きちんと相続では、相続に関する相談も受け付けておりますので、

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